研究課題/領域番号 |
63440016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
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研究分担者 |
遠矢 幸伸 東京大学, 農学部, 助手 (20180119)
児玉 洋 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (20091449)
高橋 英司 東京大学, 農学部, 助教授 (50183439)
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
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キーワード | マレック病 / 腫瘍免疫 / 胎仔性抗原 / マレック病腫瘍付随表面抗原 / Tリンパ球表面抗原 / 可移植性マレック病腫瘍 / 単クローン性抗体 |
研究概要 |
本研究の目的は、現在ワクチンが実用化されている唯一のウイルス性自然発癌であるマレック病(MD)をモデル系として用いて腫瘍免疫における腫瘍関連抗原の役割を解明することにある。マレック病ウイルス(MDV)によって癌化した細胞の表面にはMD腫瘍付随表面抗原(MATSA)やHD抗原の他に正常細胞にも存在している胎仔性抗原(CFA)、Tリンパ球表面抗原など種々の抗原がある。本年度はMATSA、CFA、MDVに対する単クローン性抗体(MAb)を用いて、MD可移植性腫瘍株化細胞接種鶏における腫瘍およびMDV関連抗原の生体内動態の解析と新たに作出したTリンパ球表面抗原に対するMAbの特異性と認識抗原の性状解析を中心課題として検討した。 1.進行性MD可移植腫瘍保有鶏の腫瘍組織ではリンパ球侵潤が優勢であったのに対して、退縮性MD可移植性腫瘍保有鶏のそれは偽好酸球の浸潤が顕著であった。リンパ組織(脾臓、Fのうおよび胸腺)において接種5〜7日目にウイルス抗原およびMATSA、またCFAの発現が両鶏群で認められた。この時いずれの抗原陽性細胞も腫瘍増殖鶏において退縮鶏におけるよりも多数認められた。腫瘍退縮鶏において、ウイルス抗原は羽包上皮細胞に持続して観察されたが、腫瘍の退縮に伴い、リンパ組織からはいずれの抗原も消失した。一方腫瘍増殖鶏においてはこれら抗原の発現は一時的に減少した後、4週目に再び増加した。腫瘍増殖鶏の脾細胞のマイトージェンに対する反応性は腫瘍退縮鶏に比べ顕著に低下し、T細胞機能の低下が示唆された。 2.Tリンパ球表面抗原に対する5種のMAbは正常鶏由来の胸腺細胞、脾細胞、Fのう細胞およびPBLに対する反応性から4つのタイプに分けられ、そのうち2つのタイプはMD由来株化細胞と反応した。今後、これら抗体はMD腫瘍細胞の個体発生学的解析に有用と思われた。
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