研究課題/領域番号 |
63440019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松原 一郎 東北大学, 医学部, 助教授 (90010040)
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研究分担者 |
八木 直人 東北大学, 医学部, 助手 (80133940)
臼倉 治郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30143415)
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キーワード | 筋収縮 / クロスブリッジ / 弱い結合 / X線回折法 |
研究概要 |
ニワトリ速筋(PLD)と遅筋(ALD)を用いて、張力発生の初期においてミオシンクロスブリッジとアクチンの間の弱い結合と強い結合の形成過程の比較を行った。弱い結合の形成の指標としては、X線赤道反射の主な二つの反射の強度比(I_<10>/I_<11>)から計算されるクロスブリッジの細いフィラメント近傍への移動率を用い、強い結合の指標としては発生張力を用いた。実験は筑波高エネルギ-研究所の放射光実験施設で行なった。標本は50Hzの矩形波で1秒間刺激して収縮させた。 今年度は実験温度を20℃に下げて、クロスブリッジとマクチンの反能を遅くしたところ、二種類の結合の形成の時間経過の違いがはっきりと観測された。すなわちALDでは張力は250ミリ秒かかって最大の半分に達したが、クロスブリッジ移動率は100ミリ秒で既に最大変化の半分に達した。PLDにおいても張力は70ミリ秒、クロスブリッジ移動率は40ミリ秒で最大変化の半分に達した。これらの、張力発生とクロスブリッジ移動率の増加の時間経過の違いは、クロスブリッジとPクチンとの弱い結合が強い結合へと変化する過程の時間経過を反映していると考えられる。温度が低い場合には、弱い結合の形成も遅くなり、その強い結合への変化の過程も遅くなっている。 このほか、収縮中に急速凍結したALDとPLDの電子顕微鏡による観察も試みた。この実験のために特に急速凍結装置を改良し、電気刺激と張力測定を行いながら標本を銅ブロックに接触させて凍結することが可能となった。予備実験の結果では試料の凍結状態は良好であり、クロスブリッジの観察に適するものと判断される。
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