研究課題/領域番号 |
63440023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村松 正實 東京大学, 医学部(医), 教授 (10035454)
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研究分担者 |
今川 正良 東京大学, 医学部, 助手 (20136823)
西村 哲治 東京大学, 医学部, 助手 (20156110)
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キーワード | TFID / RNAポリメラ-ゼI / rDNA / プロモ-タ- / アフィニティ-カラム / キメラ遺伝子 / 種特異性 / マウス腹水肝癌 |
研究概要 |
今年度は(1)TFIDの更なる精製、(2)ヒトおよびマウスのrDNAプロモ-タ-の内部構造と種特異性の2つの方向に主として研究を進めた。 1.TFIDの精製。マウス腹水肝癌MH134からホスホセルロ-スカラム、DEAEセルロ-スカラム、次いでマウスrDNAコアプロモ-タ-配列によるアフィニティクロマトグラフィ-を用いてTFIDの精製を試み50万倍以上の濃縮に成功したが、全量はアミノ酸配列の決定には不十分であった。現在の所十分な量をとるには10kg以上の細胞を必要とすると計算される。 2.ヒトおよびマウスのrDNAプロモ-タ-の内部構造と種特異性。ヒトとマウスが互いに種特異性を示すrDNA中の領域をキメラ遺伝子を作って検討した。既にマウス細胞抽出液でヒトrDNAは転写出来ないが、そのコアプロモ-タ-中の-32から-14までをマウスの配列に押えると、マウスの野生型rDNAの約90%の効率で転写される(既報、文献1)ことを見ていたので、今回はヒトHeLa細胞に抽出液を用いてヒト・マウスキメラによってヒト特異的転写に必要な領域を決定した。その結果、マウスと異なりこの範囲は-43から+17迄と極めて広いことがわかった。更にその理由を調べると5′側では-43の塩基対が重要であり、3′では+17と+1の2塩基対がヒト特異的転写に重要であった。それにより内部の構造をマウスと比較しつつ変化して更に詳しく調べることにより哺乳動物のrDNAコアプロモ-タ-は3つの進化的に保存された配列(DCS:distal conserved sequence,PCS:proximal conserved sequenceおよびSCS:start site conserved sequence)が保存されていない配列と交互に並んだモザイク状の構造を持っており、保存されていない配列の中にも比較的少数の転写に重要な塩基対がある他、保存された配列の中の異なる塩基対を保存された配列間の距離も種特異的な転写に重要な役割を果していることが明らかとなった。
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