研究概要 |
本年度はリボソ-ムRNA遺伝子の基本的転写因子の一つと考えられるUBF(upstream binding factor)のcDNAをマウス脳cDNAライブラリ-からクロ-ン化することに成功した。つづいてその遺伝子をもクロ-ン化した。その結果マウスのUBFは一つの遺伝子を持っているが、19個のエキソンによってコ-ドされ、第7番目のエキソンのオ-ルタ-ナティヴ・スプライシングによって89Kdと84Kdの2種のmUBFを作っていることが初めて明らかとなった。これら2種類のUBFの生理的意義は現在検討中である。 mUBFはそのN端側に非ヒストンタンパク質の一つであるHMG1やHMG2にみられる配列(約80アミノ酸)が4回繰返しており(HMGboxー1〜4)、84KdUBFで失なわれる部分はboxー2の中程の37アミノ酸であることもわかった。mUBFのC端側にはβタ-ンの部分とそれに続く酸性アミノ酸に富む酸性尾部(acidic tail)があり、これがトランス作用に働いているものと考えられる。現在、遺伝子工学的手法を用いてHMGーboxや酸性尾部の変異体を作ってその機能を検討中である。一方、リボソ-ム遺伝子を転写するRNAポリメラ-ゼIの修飾による調節を検討するため、その主要なサブユニットのクロ-ニングを目指して精製を進めている。現在、200Kd,120Kd,および56Kdの3つのサブユニットが純化され,アミノ酸部分配列を決定中である。
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