研究課題/領域番号 |
63440025
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田川 邦夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40028296)
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研究分担者 |
上池 渉 大阪大学, 医学部, 助手 (40152847)
黒澤 和平 大阪大学, 医学部, 助手 (70178127)
吉田 征夫 大阪大学, 医学部, 講師 (10144453)
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キーワード | 虚血 / 細胞内カルシウム / ミトコンドリア / 細胞骨格 / 灌流 / 再灌流障害 / グルタチオン / Indo 1 |
研究概要 |
本研究は、虚血臓器障害過程を、細胞内カルシウムの変動に焦点をあて、細胞骨格の崩壊と、ミトコンドリアの機能障害の面から追求することを目的とした。本年度は、灌流臓器において細胞内遊離カルシウム濃度の測定系を確立すること、無酸素下および再酸素化時におけるミトコンドリア機能障害機序を、カルシウムの変動と過酸化障害の関点から解明することに重点をおき、以下のような成果を得た。 (1)Indo 1とファイバ-誘導型反射分光蛍光システムを用いて、灌流臓器における細胞内遊離カルシウムの測定系を確立した。これにより灌流心の細胞内カルシウムの変動が心の収縮弛緩と同調してreal timeで測定されるようになった。この系を用いて、灌流心では無酸素状態を約20分継続すると細胞内カルシウムの上昇が始まること、また再酸素化により再び下降していくことが確認された。(2)灌流心において、ミトコンドリア酵素の漏出は再酸素化時に生ずることが明らかになった。このことは単離したミトコンドリアでも確認され、ミトコンドリアは再酸素化時に大きな過酸化障害を受けることが明らかとなった。また、ミトコンドリアからのカルシウムの放出は、無酸素下において内膜ポテンシャルの減少とともにチャンネルより放出されるものと、再酸素化時の内膜の崩壊により、ミトコンドリア酵素とともに非特異的に放出されたものが存在することが示された。(3)グルタチオンは細胞質よりプロトンとの共輸送でミトコンドリアに取り込まれることを明らかにした。グルタチオンがマトリックス内に保持されるためには内膜ポテンシャルが必要であること、またこのため虚血時等内膜ポテンシャルが低下する条件下では、ミトコンドリアからのグルタチオンの漏出が生じ、過酸化障害が受けやすくなることが明らかとなった。
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