研究課題/領域番号 |
63440026
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
天児 和暢 九州大学, 医学部, 教授 (20078752)
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研究分担者 |
守屋 哲博 九州大学, 医学部, 助手 (10140790)
雨田 昭子 九州大学, 医学部, 講師 (30078604)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 凍結技法 / 病原因子 / 莢膜 / 細胞壁 / ブドウ球菌 / 肺炎桿菌 |
研究概要 |
肺炎桿菌の莢膜がO抗体のバリア-とならないことに関する研究を論文として完成した。更にグラム陽性菌の莢膜についても同様の機能について検討を行った。ブドウ球菌の莢膜保有株(smith diffuse株)は、肺炎桿菌同様に厚い莢膜を持つが、これに覆はれたタイコ酸分子層には、抗タイコ酸抗体は反応しない。ブドウ球菌の莢膜は抗体に対するバリア-としての働きをしている。 抗タイコ酸抗体とともに抗ペプチドグリカン抗体も作製したので、ブドウ球菌表層へのこれら化合物の露出度を免疫電子顕微鏡法により検討したが、ブドウ球菌の莢膜非保有株ではその表面多量のタイコ酸が露出していることを明らかにした。この下にペプチドグリカンの層が在存するが、タイコ酸の層は莢膜層とは異り抗体に対するバリア-としての機能は持たない。 莢膜のもつ毒力は、莢膜の大きさ(厚さ)ではなさそうであるがその本能はいまだ明らかでない。肺炎桿菌の研究から、弱毒化された菌は、莢膜の他に線毛を発現していることを見出した。線毛はそのタンパクが疎水性であり、莢膜とは反対の物理化学的性質をもつのでこれが莢膜機能をキャセルしている可能性が考えられる。次年度での研究課題である。
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