| 研究概要 |
溶連菌に対する免疫抑制遺伝子とHLA-DQ遺伝子との関係を明らかにするため、80名の健常人の溶連菌抗原に対する免疫応答性を、試験管内T細胞増殖反応として定量し、DNAレベルで解析したDQ対立遺伝子の多型と比較した。低応答群でDQA1.2(X^2=4.1),DQA1.3(X^2=4.18)および、DQB1.4(X^2=4.2)の有意の増加を、高応答群でDQA3(X^2=8.72),DQB3.3(X^2=7.4)および、DQB4.1(X^2=4.78)の有意の増加を認めた。HLA領域には、強い連鎖不平衡が存在するので、ハプロタイプとしてみると、DR2-DRw(-)-DQA1.2DQB1.5(DQw6),DR2-DRw(-)-DQA1.3DQB1.4(DQw6)が低応答性を、DR4-DRw53-DQA3DQB4.1(DQw4),DR9-DRw53-DQA3DQB3.3(DQw3)が高応答性を支配していると考えられた。低応答性と相関のあるハプロタイプと高応答性と相関のあるハプロタイプのヘテロ接合体であるDQA1.2またはDQA 1.3/DQA3のドナ-の応答性は、低応答性と相関のあるDQA1.2ないしDQA 1.3のホモ接合体同様、低い応答性を示し、優性形質として低応答性を支配する免疫抑制遺伝子の存在が家系調査同様確かめられた。DR4-DRw53-DQA3DQB4.1(DQw4)を有する高応答者8名及び、DR2-DRw(-)-DQA1.3DQB1.4(DQw6)を有する低応答者8名より得たSCW特異的T細胞株がいずれのHLA分子を抗原提示分子として認識し増殖しているかをDR4,DRw53,DQw4,DR2(AB1),DR2(AB5),DQw6分子をそれぞれ単独に発現した形質転換細胞を用いて検討した。高応答ハプロタイプ:DR4-DRw53-DQA3DQB4.1(DQw4)に関しては、DR4分子が主に関与し、DQw4分子の関与は、認められなかったのに対し、低応答ハプロタイプ:DR2-DRw(-)-DQA1.3DQB1.4(DQw6)に関しては、DQw6分子もDR2分子同様免疫応答に関与していることが明らかになった。今後、このDQw6に拘束されたT細胞が免疫低応答性の発現に関与しているか否かについて、DR4に拘束されたT細胞と比較することにより検討する予定である。
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