研究課題/領域番号 |
63440030
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
糸川 嘉則 京都大学, 医学部, 教授 (80025593)
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研究分担者 |
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
横井 克彦 京都大学, 医学部, 助手 (10200883)
木村 美恵子 京都大学, 医学部, 助教授 (60025658)
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キーワード | 完全静脈栄養 / 輸液施行動物実験 / 微量元素欠乏症 / 栄養状態判定指標 / CaとMg |
研究概要 |
近年完全静脈栄養施行時に種々な微量元素欠乏症の発生が報告されており、微量元素を補給した輸液製剤の必要性が医療の現場から指摘されている。しかし、これら微量元素はその必要量と中毒量の幅が明確にされていないのが現状である。そこで、我々は最適な輸液中の微量元素組成を決めるために研究を開始した。本年度は微量元素欠乏食にて飼育したラットに5元素を同時に添加した輸液を施行し、組織中ミネラル類の含有量を測定した。すなわち、体重160〜180gのラットをAーDの4群に分けた。A群には21日間微量元素添加飼料を自由に摂取させた。残りの3群には14日間微量元素飼料を摂取させた後、B群には引き続き微量元素欠乏飼料にて、C群は微量元素無添加輸液にて、D群は鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素を添加した輸液を施行して7日間飼育した。この期間C、D群には飼料を与えなかった。D群における微量元素の量は体重当りにするとヒトに通常用いられている量の10倍であり、これはラットの通常の1日当たりの経口摂取量の10分の1に相当する。これらのラットは21日間の飼育後、ネンブタール麻酔下にて採血し、各種組織を摘出した後、硝酸・過塩素酸により湿式灰化し原子吸光法にて銅、亜鉛、Mg、Ca量を測定した。血漿の銅濃度はB、C群はA群より有意に低値を示したが、D群ではA群と同じレベルであった。肝臓、心臓、脾臓、腎臓など臓器中の銅濃度は血漿中の銅濃度と良い相関を示し、血漿中の銅濃度は銅の栄養状態を示す良い指標となると考えられた。亜鉛も銅と同様な傾向が認められ血漿亜鉛濃度の測定は亜鉛の臓器中濃度を良く反映していた。血漿アルカリフォスファターゼ活性も血漿亜鉛濃度と正の相関を示し、臨床的に亜鉛の体内動態を知る上に有用と考えられた。一方Ca、Mgは経口投与時と輸液投与時で分布が異なっていたが、このような変動は血漿中のCa、Mg濃度には反映されなかった。
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