研究課題/領域番号 |
63440031
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永野 耐造 金沢大学, 医学部, 教授 (20073679)
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研究分担者 |
大島 徹 金沢大学, 医学部, 講師 (40183024)
塗谷 栄治 金沢大学, 医学部・付属病院, 助手 (70180693)
前田 均 金沢大学, 医学部, 助教授 (20135049)
市村 藤雄 金沢大学, 医学部・付属病院, 教授 (40143911)
松原 藤継 金沢大学, 医学部, 教授 (90019894)
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キーワード | 救急医療 / 死体内薬毒物分析 / 中毒学 / 臨床法医学 / 薬毒物スクリ-ニングシステム / 薬物動態 |
研究概要 |
前年度に引き続き、ToxiーLab.、TDX、PyーGC・ーMS法により、1.救急患者や剖検試料からの薬毒物スクリ-ニング、2.脂溶性薬物の体内動態、3.死体の腐敗と薬毒物の分析について実験を行った。 I.救急患者および剖検試料からのスクリ-ニング:北陸及び近畿地区13の救急指定病院の患者93名並びに関東以西に大学から97例の血液・尿等について分析した。パイロライザ-を用いた揮発性薬毒物スクリ-ニングにおいてエタノ-ル、トリクロロエタン、アセトン等が迅速定量された。一般薬剤等では、フェノバルビタ-ル等や向精神薬が比較的多く、93例中12例検出された。剖検試料のうち覚醒剤が被験52例中5例も同定され、犯罪捜査上極めて重要な情報が得られることが確認された。 II.薬物体内動態:ハロペリド-ル、クロルプロマジン、ペンタゾシン等計10種の塩基性脂溶性薬物を家兎に静脈内投与すると、肺や脂肪組織に高濃度に分布し、それぞれの非イオン化・非結合薬物の各組織内・血漿間分配係数が薬物固有の水ー有機溶媒(オクタノ-ル)分配係数と高い相関性を示すことが明らかになった。 III.臓器組織の死後変化と薬毒物の量的、質的変化:ウサギに中毒量のジアゼパム、クロルプロマジン、覚醒剤、トルエン及びエタノ-ルを投与、死後動物屍そのままあるいは摘出臓器を30℃で放置し、各薬物含有量の変化について、実験例を増やし検討した。エタノ-ルでは本実験条件下死後4日目になると死後に産生されたエタノ-ルが著しく増加し、生前投与されたエタノ-ルーd6は痕跡程度に減少することが明確に示された。死後の拡散実験で胃内エタノ-ルーd6が周囲の臓器へ拡散浸透することも明らかになった。その他の薬毒物は死後変化とともに漸減傾向を示すが、4日目でもほぼ同レベルの量が同定されることが再確認された。
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