研究課題/領域番号 |
63440037
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 元臣 九州大学, 医学部, 教授 (60037322)
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研究分担者 |
友池 仁暢 九州大学, 医学部, 講師 (90112333)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
山元 寅男 九州大学, 医学部, 教授 (80037324)
竹下 彰 九州大学, 医学部, 助教授 (30038814)
金出 英夫 九州大学, 医学部, 教授 (80038851)
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キーワード | 冠動脈攣縮 / 冠動脈硬化とその進展 / 粥種内出血 / セロトニン / X線照射 / 血管内皮細胞 / 中膜平滑筋 / 心筋梗塞 |
研究概要 |
目的:心表面の冠動脈は生理的には血液供給の導管としての役割しか果していない。冠動脈攣縮や心筋梗塞の原因とされている閉塞性血栓はいずれも冠動脈の主たる枝に好発する。冠動脈攣縮や器質的冠動脈狭窄進展の成因は虚血性心臓病の発生機序を解明する上で重要な課題と考えられるが、殆んど検討されていない。本研究では冠動脈攣縮動物モデルを用いて、(1)冠動脈攣縮の成因を内皮細胞と中膜平滑筋の機能変化(2)冠動脈攣縮によって内腔狭窄度が急進展する機序。(3)心筋梗塞の発症に占める冠動脈攣縮の役割について検討した。 方法・結果:ゲッチンゲン種ミニ豚の冠動脈内膜を機械的に剥離し、同部にX線を照射するとオータコイドによって冠動脈攣縮は誘発される。冠動脈造影で攣縮部と非攣縮部とを同定し、中膜平滑筋標本を作製、等尺性張力を測定した。攣縮の成立には外液のCa^<2+>は必須であるが収縮蛋白に著変を認めなかった。オータコイドの受容体と情報伝達系の異常が示唆された。高コレステロール血症、内膜剥離、X線の照射を併用すると強い攣縮と内膜肥厚を起こした。更に攣縮を5回連続して誘発すると壁内出血とそれに伴う冠動脈の閉塞が生じた。走査・透過電顕を行った所内皮細胞の立ち上り、白血球の粘着を認めた。出血は粥腫内に新生した毛細血管の破碇によるものと考えられた。この様な粥腫内出血部では高度の内腔狭窄が出血によって急に発生したことが示唆されたので、現在、その確認の為の研究をつづけている。尚攣縮と硬化病変と内皮依存性弛緩反応との関係を検討している。 考察:X線は粥腫の形成を促し、粥腫同の毛細血管新生を促進したものと思われる。攣縮という機械的刺激が毛細血管破碇の重要な一因をなしている事が示唆された。血管局内出血が冠動脈の閉塞を招来したのか、出血に伴い閉塞性血栓の形成がありうるのか今後検討が必要である。
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