研究概要 |
1.ヒト胸腺細胞は先天性心疾患患児の開胸手術時に得られた胸腺から分離した。胸腺細胞のDNA検索には、各画分の凍結細胞群を融解・再浮遊後phenol/chloroform抽出を行い、EtOH沈澱によって高分子DNAを回収した。各画分の細胞群から抽出したDNAを<Eco>___ーRI・<Hin>___ーdIII・<Bam>___ーHI(Takara shuzo,Kyoto)の各制限酵素を用いて切断し、0.6% agaroseにて電気泳動を行い、nitrocellulose membraneへのSouthern blottingとそのmembraneのbakingの後、Nick translasion法により[ ^<32>P]dCTPを用いてラベルしたprobeを用いてhybridizationを行った。hybridizationは50%formamide存在下で行い、洗浄は0.1xSSC・0.1%SDSを用いて50℃で、autoradiographyは、intensifying screenを使用して-80〜-70℃で行った。なお、probeは、Tak Makから供与されたT cell receptor(TcR)β chain・γ chainのconstant region(Cβ・Cγ)を用いた。2歳男児由来胸腺からBSA不連続濃度勾配法によって分画した胸腺細胞群から抽出したDNAを<Eco>___ーRIで切断し、Cβをprobeとして用いたSouthern blot hybridizationの結果からは全ての画分においてTcRβ鎖の再構成が認められることが示された。なお、germlineが1本のbandとして認められるBamHI切断の場合にも、germlineと異なる明かなbandは認められなかったことから、胸腺細胞の全ての画分に見いだされたTcR遺伝子の再構成は、polyclonalな再構成であると考えられた。なお、このTcRβ鎖遺伝子再構成は月齢3及び月齢6等の乳児由来胸腺では明らかでなく、2歳以上の幼児由来胸腺の場合により著しい傾向が認められた。 なお、Cγを用いた検索ではTcRγの再構成は明らかではなく、他の症例においても、TcRγの再構成は確認されなかった。
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