研究課題/領域番号 |
63440040
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久田 欣一 金沢大学, 医学部, 教授 (50019882)
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研究分担者 |
松田 博史 金沢大学, 医学部, 助手 (90173848)
柴 和弘 金沢大学, アイソトープ総合センター, 助手 (40143929)
天野 良平 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30111769)
森 厚文 金沢大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (90019604)
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キーワード | 痴呆 / 神経伝達物質 / オ-トラジオグラフィ / 神経受容体 / アセチルコリン / 放射性リガンド / 核医学画像 / アルツハイマ-病 |
研究概要 |
前年度作製した一側前脳基底部破壊によるコリン作動性神経支配除去ラットにおいて、コリン作動性中枢神経支配の核医学的画像化の基礎的研究を行った。このラットはアルツハイマ-病の疾患動物モデルのひとつとされているが、行動薬理学的検索として自作した実験装置により受動的回避学習における反応の獲得と保持について検討した。獲得試行の反応潜時には手術群と偽手術群で差異はみられなかったが、保持テストでは手術群は偽手術群に比べ回避潜時の短縮を示した。組織化学的検索では破壊部位の淡蒼球腹側部、無名質、および内包の神経細胞脱落とグリオ-シスが顕著であり、投射部位の破壊側前頭、頭頂、側頭葉皮質においてアセチルコリンエステラ-ゼ(AchE)染色性の低下がみられた。酵素化学的検索では、頭頂葉皮質において破壊側は非破壊側に比べ、コリンアセチルトランスフェラ-ゼ(CAT)活性が平均46%、AchE活性が平均40%低下していた。これらの結果から、このコリン作動性神経支配除去手術群は実験的アルツハイマ-病の一モデルとして適切と考えられた。さらにこの一側前脳基底部破壊によるコリン作動性神経支配除去ラットにおいて頭頂葉皮質におけるアセチルコリンの定量を行った。破壊側は非破壊側に比べ、平均31%有意に低下していた。また大脳皮質におけるムスカリン性アセチルコリン受容体をインビトロ受容体オ-トラジオグラフィ-により定量した。総受容体数、M_1受容体数、M_2受容体数のいずれも破壊側、非破壊側間で有意な差は認められなかった。一方、^3H標識2ー(4ーphenylpiperidino)cyclohexanol(AH5183)を用いて、シナプス前コリン作動性神経支配の描出を試みたところ、AH5183の結合は破壊側前頭・頭頂・側頭葉皮質において、非破壊側よりも平均14%有意に低下していた。AH5183は脳におけるコリン作動性神経支配画像化のための有力なリガンドと考えられ、今後SPECTによるヒトへの応用が期待される。
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