研究課題/領域番号 |
63440042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井村 裕夫 京都大学, 医学部, 教授 (10025570)
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研究分担者 |
中尾 一和 京都大学, 医学部, 助手 (00172263)
中井 義勝 京都大学, 医学部, 講師 (10115892)
清野 裕 京都大学, 医学部, 助教授 (40030986)
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キーワード | ACTH / CRF / GIP / モチリン / ロイモルフィン / オピオイドペプチド / バソプレッシン / インターロイキン |
研究概要 |
神経ペプチドに関する生化学的、生理学的、病態生理学的研究を行った。まずGastric inhibitory polypeptide(GIP)、モチリン前駆体のcDNAのクローニングを行いその構造を明らかにするとともに、遺伝子の構造も解明した。またこれら遺伝子の体内における発現部位をRNAプロット法で解明した。次にACTH前駆体(POMC)遺伝子の発現調節機構について培養細胞への遺伝子移入実験により検討し、下垂体細胞では正常に発現するが、線維芽細胞では異常な転写開始部位からの発現が起こること、5′側上流の発現調節部位にサイクリックAMP反応部位があり、この部の欠損遺伝子ではサイクリックAMP応答性が低下することを観察した。また心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の遺伝子発現を検討し、ヒトで心房内圧の上昇とともに心房におけるANPのmRNAが増加すること、一方正常の心室ではANPmRNAは微量であるが、心不全になるとその程度に応じて顕著な遺伝子発現の増加が起こることを見出した。また心室肥大をきたす高血圧ラット(SHRーSP)においても高血圧の進行とともに心室におけるANP遺伝子の発現が著明に増加することを観察した。このことは心不全に対する一種の適応現象と考えられた。次にANPと構造の類似した新しいペプチド、BNPの中枢作用について検討し、これがANPと同様に飲水の抑制、バソプレッシン分泌の抑制を起こすことを観察した。更にバソプレッシンと同じニューロンに共存するロイモルフィンについても検討を行い、これが強いバソプレッシン抑制作用を有することを明らかにした。BNP、ロイモルフィンの作用機構については検討中である。またCRF、ACTHの分泌促進物質としてインターロイキン(IL)1及び6について検討し、ILー1のみでなくILー6もCRFを介してACTH分泌を促進することを明らかにした。
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