研究概要 |
1.ヌ-ドマウス肝転移モデルの作成 (1)ヌ-ドマウス移植人膵癌細胞PK1およびPK9をヌ-ドマウスの門脈内に投与した場合,抗アシアロGM1処理群ではPK1で50%,PK9で20%に肝転移を認めたが,抗体非処理群では全く肝転移を形成しなかった。さらにPK1の肝転移巣より継代して得たKLM1細胞を用いると、抗体処理群で89%に,非処理群でも67%に肝転移を認めた。肝転移の形成には宿主のNK活性が関与するが,癌細胞自体の性質の関与がさらに大きいものと考えられた。本肝転移モデルは、膵癌肝転移形成機序解明と予防法確立に極めて有用と考えられた。 2.LAK養子免疫療法(AIT)の検討 (1)ヌ-ドマウス脾細胞をinーvitroおよびinーvivoでrIL2で刺激培養することにより,高いNK活性,LAK活性および人膵癌細胞障害活性を有するLAK細胞を誘導しえた。またこのLAK細胞QWinn試験でPK1腫瘍の増殖を抑制した。次年度は1(1)の人膵癌肝転移モデルを用い,人LAK細胞の肝転移抑制効果を検討する。 (2)膵癌患者末梢血よりLAK細胞を誘導し,12例の膵癌患者を対象としてLAKーAITを行った。切除例8例中4例ではLAK細胞をrIL2と共に門脈内に投与した。副作用は軽微で,門脈内投与の4例中3例ではまだ肝転移を認めていない。切除不能の4例では腫瘍に対する直接効果も延命効果も得られなかった。今後共,臨床例を増やし,門脈内投与の肝転移抑制効果を検討する。
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