研究概要 |
1.ヌ-ドマウスの人膵癌肝転移モデル作成 (1)ヌ-ドマウス移植人膵癌細胞PK1およびPK9をヌ-ドマウスの内脈内に注入すると抗アシアロGM1処理群ではそれぞれ44%,22%に肝転移を形成したが,非処理群ではまったく肝転移を形成せず宿生のNK活性が肝転移抑制に関与しているものと考えられた。 (2)PK1の肝転移巣より継代して得たKLM1細胞は処理群で100%,非処理群でも75%に肝転移を形成し,NK活性以外に膵癌細胞自体の転移形成能が肝転移形成に大きく関与していた。 (3)アイソト-プラベルした膵癌細胞の体内動態では、72時間後にも肝内に放射活性を認め、膵癌細胞の肝への親和性が示唆された。 以上により,本肝転移モデルは、膵癌の肝転移形成機序解明と予防法確立に極めて有用と考えられた。 2.LAK養子免疫療法の検討 (1)膵癌患者末梢血よりLAK細胞を誘導し,膵癌切除例10例に対して術後7日目よりLAK養子免疫療法を行った。この内7例では内脈内からrIL2と共に投与した。総投与細胞数は平均5×10^9個,N活性,LAK活性,膵癌細胞障害活性は培養7日目で79%,69%,52%と培養前より有意に増加した。副作用としては軽度の発熱を92%に認めたのみであった。10例中5例は生存中で、内脈内投与した7例中6例では肝転移を認めていない。膵癌切除例に対するLAK細胞の経門脈性肝内移入療法は、肝転移予防法として試みる価値があるものと考えられた。
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