研究概要 |
われわれはここ数年胸管リンパ球より誘導したLymphokine activated killir(LAK)を再発悪性腫瘍患者に投与してきた。胸管リンパ球および末梢血リンパ球またはその一方から誘導したLAKを使用して9例に養子免疫療法を施行した。胃癌2例、乳癌,膵癌の各1例は腫瘍縮小を示さなかった。大腸癌の3例はLAK治療中は腫瘍増大を示さなかった。肝,腸骨,肺転移を有する肝癌症例において肝転移巣は完全壊死を呈した。 しかしながら腸骨および肺転移巣にはLAKは腫瘍縮小効果を示さなかった。免疫染色の検討で肝転移巣はβ_2 microglobulin(BMG)が癌細胞表面に陽性であり、腸骨,肺転移巣には蔭性であることが判明した。BMGは組織適合抗原のClass 1抗原のsmall componentである。われわれの成績はLAKがCyototoxic T cell(CTL)を含んでいたかあるいは誘導された可能性を意味している。われわれは今まで大量の、より強い細胞障害性を有するLAKを作ろうとばかりしてきた。しかし今や標的となる癌細胞表面の抗原表出を再検索し、LAKの投与と細胞障害効果を再検討し養子免疫療法の効率化を図る必要がある。
|