研究課題/領域番号 |
63440050
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井街 宏 東京大学, 医学部(医), 助教授 (10010076)
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研究分担者 |
藤正 巖 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20197643)
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
阿部 裕輔 東京大学, 医学部, 助手 (90193010)
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キーワード | 人工心臓 / 血行動態 / 人工心臓の制御 / 人工心臓の病態生理 / 人工弁 / 左心バイパス |
研究概要 |
本研究は、完全人工心臓駆動に伴う種々の病態の成因が人工心臓の制御方法の不完全さにあるという仮説の下に、完全人工心臓駆動時の血行動態、呼吸状態、ホルモン系、神経系に関するデ-タを総合的に解析し制御方法との相関を調ベることにより、完全人工心臓の駆動に伴う種々の病態の発生機構を解明すると共に運動時まで含めた人工心臓の最適制御方法を確立することを目的としている。本年度は以下の研究を行った。 1.昨年に引き続きヤギの左房一下行大動脈に人工心臓を装着し、大動脈弓部を完全に遮断し、上半身と右心は自然心臓、下半身は人工心臓で分離循環したヤギを作成し、人工心臓に種々の制御をかけた場合の生体系の応答を調べた。その結果、人工心臓の駆動条件を固定とした場合、上半身では血流量は心拍数にほぼ比例して増減し、下半身では血流量と心拍数との関係は見られなかった。人工心臓の駆動陽圧を心拍数に比例して制御してやると、はじめは上半身及び下半身の両者の血流量とも心拍数に比例して増減しているが、一週間後には上半身の血流量は心拍数と関係なくなることが判った。 2.新たに開発した高分子膜製人工弁(Jilly fish弁)を挿入した人工心臓ポンプをヤギに装着し、完全人工心臓下での血行動態、血液生化学的変化を従来用いてきたBーS弁との間で比較した。最長141日までの実験では、本弁を用いたヤギでは従来完全人工心臓装着動物で必ず見られていた中心静脈圧の上昇、軽度の貧血、甲状腺ホルモンの減少、肝障害などの病態生理像が全く見られないことが明らかになった。本弁の静脈系に及ぼす圧力波形を計測して見ると、BーS弁で見られるような収縮期初期での逆流量によると思われる高い圧力波が出ないことが判ったが、この圧力波が静脈系の緊張を招き種々の病態を発生させていたことが想像され、今後研究を続ける。
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