研究課題/領域番号 |
63440052
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
井上 正 慶應義塾大学, 医学部・外科, 教授 (30050991)
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研究分担者 |
三角 隆彦 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (20174013)
申 範圭 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (50171062)
四津 良平 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (30129738)
相馬 康宏 慶應義塾大学医学部, 外科, 講師 (40051437)
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キーワード | 心筋再灌流障害 / 多核白血球 / ケミルミネッセンス法 / TBA法 / 活性酸素 |
研究概要 |
〔実験1〕成人開心術症例(N=7)において(1)手術開始時(2)心停止時(3)心停止後30分時(4)再灌流時(心停止後平均68分後)(5)再灌流後5分時(6)同10分時(7)同30分時に末梢血液を採血する。血液から速やかに多核白血球を分離する。培養液中に細胞数が10^5個/mm^3となるように揃えてChemiluminescenceにより多核白血球活性変化を調べた。再灌流時の多核白血球活性に対する各時点の比率は以下の通りであった。 活性(1)1.1±0.1(2)1.0±0.1(3)1.1±0.2(4)1(5)1.0±0.1(6)1.3±0.1(7)1.8±0.3 以上の通り再灌流後に活性が急速に上昇している。このことから多核白血球由来の活性酸素による再灌流障害が示唆されたため実験2を行った。 〔実験2〕小型雑種成犬の摘出心および交差灌流用大型犬を用いて、摘出心を3時間の低温虚血後に再灌流する。灌流装置に好中球除去フィルターを組み込むか否かにより、(1)好中球除去灌流血液と(2)正常血液に分けて、両群間の再灌流後の各種データを比較検討した。再灌流1時間後の心機能の回復率(%Emax)は、(1)90.0±13.2%対(2)73.0±11.9%(P<0.05)であり有意に(1)の回復率がよかった。不整脈・伝導障害の発生率は(1)18%対(2)64%(P<0.04)であった。再灌流後の冠動脈血流量に有意の差を認めなかった。CPKーMB産生量は再灌流後30分時で(1)97.2±25.0対(2)207.5±34.3(unit/heart dry wt)(P<0.05)であった。また、血清TBA reactive substances産生量(nmol/dry wt/1000ml)では、再灌流5分後で(1)12.2±12.9対(2)33.3±9.1であった。(2)群では血清TBA量はその後も増加しつづけたが、(1)群では減少した。これにより、(2)群で持続的な活性酸素の発生が示唆された。以上より、多核白血球由来の活性酸素による再灌流障害が示唆された。
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