神経切断端と静脈投与抗ニュ-ロフィラメント抗体(抗NF抗体)との結合の証明:a:二次抗体での染色:成熟家兎統腓骨神経を膝窩で切断し、7、14、63日後に抗NF抗体(70K)を0.2mg/dl 1dl静脈投与した。投与後1時間、3日後に神経を採取し、二次抗体よりABC法により染色した。各群2羽、計12羽で行った。神経切断端、近位、遠位部いずれにおいても抗NF抗体と軸索との結合はなかった。b蛍光色素標識抗NF抗体投与:抗NF抗体に蛍光色素を標識し、神経切断後7、14日後に抗NF抗体濃度として0.2mg/dl 1dlを静脈投与し、24時間後に神経を採取し、蛍光顕微鏡下に鏡顕した。各2羽で行ったが、神経切断遠位端の神経周膜内に蛍光を認めたが、軸索との結合はなかった。 静脈投与抗NF抗体と軸索との結合が証明できなかった理由として、抗NF抗体の濃度が低い、切断端神経膜の神経血液関門が早期に修復される、抗NF抗体は神経血液関門は通過するが軸索問膜を通過しないなどが考えられる。大量の抗NF抗体は経済的に投与できないので蛍光色素標識IgG50mg/dl 1dl投与を行った。遠位断端には蛍光がみられたが、近位断端ではわずかであった。次にエドンスブルアレグシンを0.5g/cc/100g体重静脈投与してみると、過去の報告と異なり遠位断端、遠位部には蛍光がみられたが、近位断端には認められなかった。 この結果から、抗NF抗体の濃度をあげれば遠位部では軸素と結合する可能性はあるが、ワ-ラ-変性が起ってから2週以後では実用性がなく、近位断端では受傷早期と除けば結合の可能性は低く、抗NF抗体をマ-カ-とする神経損傷の画像診断は困難であると考えられる。現在抗NF抗体に変わるマ-カ-を検討中である。
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