研究課題/領域番号 |
63440063
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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研究分担者 |
菊地 俊彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70177799)
末武 光子 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40183412)
栗原 篤 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80192037)
柴原 義博 東北大学, 医学部, 講師 (70142940)
新川 秀一 東北大学, 医学部, 講師 (90125584)
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キーワード | 滲出性中耳炎 / 難治化因子 / ケミカルミディエ-タ- / 補体 / 難治例鼓膜病理 / 中耳粘膜病理 / 柴苓湯 / サ-ファクテン局所療法 |
研究概要 |
基礎的研究として、1)難治滲出性中耳炎(SOM)の中耳貯留液(MEE)中ケミカルメディエ-タ-解析を行い、2)換気チュ-ブ留置術時に生検した中耳粘膜並びに鼓膜標本の電顕検索を行った。1)では現在までアラキドン酸代謝物中に遷延化難治化の指標となるものは見出されていないがMEE中の1eukotrienレベルはprostaglandinsに比して低く今後は補体活性化物質(endotoxinなど)の検索へ方向転換をはかる。2)では23例32耳について検討したが鼓膜固有層の外側放射状線維束は比較的良く保たれているのに反して内側輸状線維束は殆どの例で変性ないし消失していた。高度病変例ほど中間層弾性線維の形態変が著しく結合組織(無構造)に置換されていた。 臨床的研究として、1)引き続き難治症例の早期選別法の検討を行い、2)更に局所治療法の新しい薬剤として人工的に抽出精製したサ-ファクタントの効果について検討した。1)では換気チュ-ブ留置術を行った55耳の含気腔容積と予後との関係をみたところ含気腔1.5ml末満の再発率が87%であったの対して1.5〜3.0ml群は45%、3.0ml以上群では26%と有意の低下がみられることが判明しティンパノメトリ-による含気腔容積測定が予後予測に重要な指標となることがわかった。2)については現在パイロット研究を開始したところだが、耳管のpassive opening圧や含気腔容積を指標として選別した難治性SOMを対象に検討をすすめていく予定である。滲出性中耳炎外来担当者を中心にプロトコ-ルを作成し十分な追跡調査が行われている。現在までに9例に対して投与されたが1回投与直後から耳管通気性に改善のみられた症例が2例あり今後更に投与方法・回数・症例の選別法・などについて積極的に取り組み難治性SOM治療法の開拓のための糸口を見出す努力を続けていく所存である。
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