研究分担者 |
八木沼 裕司 東北大学, 医学部附属病院, 助手
菊地 俊彦 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70177799)
朴沢 孝治 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20199459)
鈴木 守 東北大学, 医学部, 助手 (10206534)
柴原 義博 東北大学, 医学部, 講師 (70142940)
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研究概要 |
最終年度にあたり,従来より行われてきた基礎研究と臨床研究の総括を行い,特に薬剤療法のあり方について提言を行うことに主眼をおいた。 滲出性中耳炎の症状発現に至る過程については不明の点も残されているが,生体感染防御機構の未熟性や不十分な抗菌療法後のIII型アレルギ-が有力視されるので,抗菌療法や抗アレルギ-剤療法についての検討を行った。 滲出性中耳炎の薬剤療法では病期について十分に配慮し,それに即した治療法の選択が行われる必要がある。 急性期(〜3週)では,抗生剤投与を第1選択とし,マクロライド系など十分に感受性の期待できる薬剤を選択する。投与期間は10日〜14日間を目安にする。 亜急性期(3週〜3カ月)では,新世代抗アレルギ-剤や和漢生薬など局所アレルギ-反応の抑制と鼻副鼻腔病変の改善を主眼とした治療にする。中耳腔換気療法も無視しない。 いわゆる難治性滲出性中耳炎の慢性期(3カ月以上)のものに対しては,換気不全,分泌機能亢進,粘膜変性など中耳・耳管病態の固着化が進みつつあるので,まず鼓膜切開排液・換気チュ-ブ留置を行ってから薬剤療法に進むのが妥当であろう。 以上のすべての病期にわたり,鼻咽腔への処置(ネブライザ-や洗浄を含む)を行い,粘膜の自力回復を援助することも重要である。 滲出性中耳炎は,体力や感染防御能が成人のレベルに達する頃(8歳位)に安定し,それ以後は新たな発症や再発が少くなるので,この時期を目標に,日常の丁寧なケアが重要な治療の役割をになっている。
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