研究課題
我々は、顎顔面部の疾患に対して、昭和56年より歯学部と医学部のチーム・アプローチにより機能回復と整容的回復を目的として治療を行い治療成果をあげてきた。本研究の目的は本学工学部で開発した「曲面形状の非接触型自動測定法」の原理を応用して、顎顔面形態の精密な三次元解析の自動化を研究し、病態の診断、治療計画の立案、治療効果の判定及び顎顔面補綴物作製の自動化などへの臨床応用を行うことである。そこで顎顔面部の疾患を有する患者の術前・術後の顔面模型および正常人の顔面模型から顎顔面形態訂測装置(日本光学社製トライステーション400H)を用い、顎顔面軟組織形態情報の数値化を行った。また、MT装置(VDS株式会社製VD-4000)により、CT画像のデータから頭蓋の骨組織および軟組織の形態情報の蓄積を行った。さらに、前述の2つのデータを同時に重ね合わせ、画面表示するソフト・ウェアの開発の検討を行った。その結果、以下のような知見が得られた。1.顔面模型の顎顔面形態計測装置を用いての計測は、今後臨床応用を考えた場合、計測方法の簡易化、討測時間の短縮、微細部情報の数値化が必要である。2.CT画像のデータから頭蓋の骨組織および軟組織の形態情報を数値化する場合、情報量が非常に多く、またCT値の変化により軟組織表面の情報が影響を受ける等の問題がある。3.顔面模型の情報とCT画像からの情報の画像を重ね合わせる場合、重ね合わせの基準点をどこに設定するかという問題があり検討中である。4.治療計画の立案、治療効果の判定方法の確立にはさらに多くの資料が必要であり、今後継続して資料の採取を行う必要がある。以上のように本研究は最終目的である臨床応用には至っておらず、今後さらに検討を加える必要があると思われる。
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