研究概要 |
1.健常成人ボランティアの計測を行った。測定は規格測定装置を作製し、いわゆる斜位で行った。男性では40歳代で0.618g/cm^2と最大値を示し、50歳以降わずかな減少傾向を示した。女性では、40歳代で0.615g/cm^2と最大値を示し、40歳代から50歳代にかけて減少し、60歳代で0.544g/cm^2と最小値を示した。これらより、性別、年齢により、下顎骨骨塩量の変化は差異を示すことがわかった。 2.左側下顎骨骨髄炎の症例の経時的測定を行った。測定はPーA方向で行った。左側臼歯部から下顎枝、顎関節にわたる広い病変が認められ、同部骨塩量は1.517g/cm^2であった。皮質骨除去術を施行し、術後12週の測定では、1.040g/cm^2を示し、術後10か月の測定では1.138g/cm^2と再び増加傾向を示し、腫脹、開口障害の症状が認められるようになった。 3.左側下顎エナメル上皮腫の症例の経時的測定を行った。術前の斜位での測定では0.502g/cm^2を示した。術後5週では0.553g/cm^2、術後5か月では0.752g/cm^2と上昇傾向を示した。Xーpでは著明な変化はなく,測定による経過観察の有用性が認められた。 4.1,2,3の検討により、顎骨病変に対する臨床検査の一つとして、十分適用するものと考えられた。現在の段階では、被検者、患者が姿勢を変えることにより、斜位、PーA方向での測定が可能となっている。今後は、姿勢を変えることなく、パノラマX線写真のような像が得られたら良いと考えている。それには、現在XーY方向にしか作動しない線管、detectorを円軌道で動かせるようにすれば良いのではないかと思う。
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