研究課題/領域番号 |
63440087
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 篤男 大阪大学, 微生物研究所, 教授 (80029769)
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研究分担者 |
雨村 光子 大阪大学, 微生物研究所, 教務職員 (80159467)
牧野 耕三 大阪大学, 微生物研究所, 助手 (20181620)
品川 日出夫 大阪大学, 微生物研究所, 助教授 (40029799)
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キーワード | 大腸菌 / 遺伝子発現制御機構 / リン酸レギュロン / リン酸ボックス / プロモーター活性 / 転写アクチベーター / in vitro転写系 / 二因子制御系 / シグナル・トランスダクション |
研究概要 |
(1)リン酸レギュロン遺伝子のプロモーター構造と遺伝子発現調節、リン酸レギュロン遺伝子のプロモーター領域(の-35に相当する領域)に相同性の高い塩基配列が存在し、リン酸ボックスと名付けた。これは遺伝子発現促進に重要な役割をもつと考えられる。 pstS遺伝子の転写酵素による転写がPhoB蛋白質によって活性化されることを調べるため、まず、in vivoでの転写始点を決定した。次いで、抗PhoB抗体を用いてPhoB蛋白質を同定しながら精製した。pstオペロンのプロモーター領域を鋳型として、転写ホロ酵素によるin vitroでの転写実験を行ない、PhoBを加えた時だけin vivoでの転写と同じ開始点からの転写が起こることを証明した。PhoBがリン酸ボックスを含む領域に結合することも証明した。すなわち、PhoBは転写のアクチベーターで、DNA上のリン酸ボックスを認識して転写ホロ酵素による転写開始をアクチベートすると結論した。 in vivoでのリン酸ボックスの重要性を確認するため、pstSのプロモータ領域(リン酸ボックスが2個連続して存在)を含むDNA断片を上流と下流からの各種失断片を作成してプロモーター活性を調べた。リン酸による発現調節には下流側の1個と-10領域とが必要で、上流側の1個が加わると高い発現が見られることを明らかにした。 (2)PhoR蛋白質によるPhoB蛋白質の活性化。phoR遺伝子は遺伝子発現に抑制的(負)と促進的(正)との二重の機能をもつが、その機構はPhoB蛋白質を活性化したり不活性化したりするものと考えられる。PhoRが自己リン酸化によって活性化し、それがPhoRをリン酸化することによってPhoBを転写のアクチベーターとして活性化することを証明した。 (3)今後の研究計画。PhoRによるPhoBの活性化の機構がリン酸化であることを証明したが、その抑制の機構としての不活性化の分子機構を解明しようとしている。
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