本年度も、昨年度に引き継づき、血管作動性物質の血圧調節作用を中心に動物実験を行った。21ーデオキシアルドステロン(21ーDOA)は生体内で産生される鉱質コルチコイドであるが、その生物活性や生理的意義については十分解明されていない。今回、本物質の作用を、in vitro およびin vivoで検定した。In vitroでは21ーDOAの鉱質コルチコイド(MC)生物活性、腎MCおよび、糖質コルチコイド(GC)受容体との結合能検討した。In vivoでは、腸内細菌を用いて、アルドステロンから合成した21ーDOAを副腎摘除ラット腎Cytosol分画において、MCおよびGC受容体結合能を求めコルチコステロイド結合グロブリン(CBG)との結合能も、ヒト血漿を用いて測定したその結果、21ーDOAはアルドステロンに対して、1ー5%の生物活性、94%の腎MC受容体結合能を有し、デキサメサゾンの23%の腎GC受容体結合能を示した。CBG結合能はコルチゾ-ルの17%であった。以上、21ーDOAは腎MC受容体に対し、アルドステロンとほぼ同等な結合能を有するが、In vivoにおけるMC生物活性は弱く、この解離はCBG結合能の差に一部起因すると推察された。 生体で、生成される21ーDOAの病態生理的意義については健常人および肝硬変患者を対象にした、腸内細菌の除去の効果を検討し、弱いながら、MC作用を発揮しているとの間接的証拠を得た。今後、高血圧の病態での検討を計画したい。
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