研究課題/領域番号 |
63450001
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
今枝 二郎 大正大学, 文学部, 教授 (50054622)
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研究分担者 |
清水 浩子 大正大学, 講師
田中 文雄 大正大学, 講師
星野 英紀 大正大学, 文学部, 助教授 (00054669)
佐藤 成順 大正大学, 文学部, 教授 (70072519)
宮澤 正順 大正大学, 文学部, 専任講師 (70190775)
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キーワード | 讖緯思想 / 緯書 / 道蔵 / 疑偽経典 / 易学 / 天文占 / 神仙思想 / 義疏学 |
研究概要 |
各研究分担者の専門領域より、前年度の研究を深化発展せしめ、研究会議において意見の交換と、代表者による総括をおこなった。研究分担は、道教文献を宮沢(『真語』)・田中(『霊宝経』)・渡会(『洞淵神呪経』)が受け持った。また仏教資料は、佐藤が唐代の偽経(『大雲経』)を、春本が北魏時代の偽経(『提謂波利経』)を扱い、両者とも中国撰述の疑偽経典のなかから讖緯思想に考察を加えた。一方、儒教における讖緯思想については、武田・清水が分担し、武田は諸文献における三皇説をめぐり緯書説の変容を考察し、清水は『文選注』の引用文献からこの研究を進めた。星野は宗教学的見地より、諸文献に現れた讖緯思想について、神秘思想と俗信との問題を軸として、日本への影響をも含めて考察した。これらの研究は、文献資料より讖緯思想に関わる語彙を抽出し、それを整理することを中心として、各思想・宗教に与えた影響を解明しようと試みたものである。今枝は上記の研究を全般的に総括し、中世の結実期である唐代の文献を中心として、讖緯思想の思想史的展開相を考究した。その結果従来の研究では、讖緯思想は政治権力の度重なる『緯書』禁絶により、中世以降は文献資料の表層には現れてこないとされていたが、『道蔵』所収の道経、中国撰述疑偽経典の中にみられ、更に注疏の中にも多く引用されていることを発見しえた。また『緯書』名は記されていないものの、讖緯思想の内蔵する五行思想や天文地理観などと同質の思想を含むものも多く、讖緯思想を中世の中心的思潮の一つとして学術的に位置づけた。
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