仏教とタ-ミナル・ケアに関する研究・その2

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63450004
• 研究機関: 佛教大学
• 研究代表者: 水谷 幸正 佛教大学, 文学部, 教授 (60066389)
• 研究分担者: 藤原 明子 京都中央看護専門学校, 教務主任 ; 田宮 仁 佛教大学, 仏教社会事業研究所, 専任研究員 (60155257) ; 藤本 浄彦 佛教大学, 文学部, 教授 (90090183) ; 山口 信治 佛教大学, 社会学部, 教授 (60066404) ; 雲井 昭善 佛教大学, 文学部, 教授 (80081892)
• キーワード: 仏教 / 生死 / タ-ミナル・ケア / 臨終行儀 / 浄土往生 / ビハ-ラ / ホスピス / チャプレン

研究概要

現代日本の社会問題ともなっているタ-ミナル・ケアの問題に対して仏教をよりどころとしたタ-ミナル・ケアの方法論を開拓して提示することが、本研究の主たる目的であった。また、その方法論の担い手の養成も必然的に目的として挙げられることとなった。昭和63年度より平成2年度までの3年間、年度毎の研究計画を立て毎月例会を設け研究を進めてきた。初年度は主にタ-ミナル・ステ-ジの各段階における問題点を確認し、仏教の側から仏教経典や祖師方の著作に典拠を求めながら具体的なケア方法の開拓を試みた。この間、タ-ミナル・ステ-ジの期間設定や、タ-ミナル・ケアという極めて臨床的具体的場面での仏教によるケア方法論提示という研究作業を通じて、従来理念追及に偏りがちであった仏教研究に新たな問題提起と発見の多くを与えることとなった。また数箇所にわたるタ-ミナル・ケア施設での臨地見学は、本研究の成果の確認と同時に現場ならではの問題を知ることができ、本研究推進成果の確認と同時に現場ならではの問題を知ることができ、本研究推進の上で重要なできごとであった。さらに、本研究の成果を将来担うべき人材養成ということで、2年コ-ス2070時間というビハ-ラ僧(仏数チャプレン)養成カリキュラムを編成することができた。これらのことは、本研究が単なる研究のための研究でなく、タ-ミナル・ケアという臨床場面への応用を意図した実践的研究であり、その担い手の確保にまで責任を持つ実際的研究としての成果を示すものといえよう。しかし、本研究の成果を臨床的に検証しなければ、本研究課題の最終目的は達成されない。したがって、今後にその検証研究が残されており、引き続き本研究課題での継続研究が必要となっている。

研究成果

• [文献書誌] 水谷 幸正: "仏教倫理と現代社会" 「中華仏教研究所報」(中華民国)中華仏教研究所. (1990)
• [文献書誌] 山口 信治: "あえてそれを福祉にいわなくとも(1).(2).(3)" 「バンビ」SDA教団肢体障害者友の会. 42.43・44号. (1990)
• [文献書誌] 藤本 浄彦: "法然浄土教における生命観" 「日本仏教学会年報平成元年」日本仏教学会. (1990)
• [文献書誌] 中村 永司: "社会福祉援助活動の価値と倫理" 社会福祉援助技術総論. (1990)
• [文献書誌] 場知賀 礼文: "宗教集団の類型論ー新しい概念図式を求めてー" 「佛教大学社会学論叢」佛教大学. (1990)
• [文献書誌] 場知賀 礼文: "宗教の定義について(2)" 「佛教大学社会学研究紀要」佛教大学. 12号. (1991)
• [文献書誌] 田宮 仁: "仏教の理念にたったタ-ミナル・ケア/ビハ-ラ" 「現代のエスプリ」至文堂. 274号. (1990)
• [文献書誌] 藤腹 明子: "あなたへの手紙ー自分の弱さを受容できる人ほど温かくなれるー" 「クリニカルスタディ」メヂカルフレンド社. Vol.1,No.104. (1990)
• [文献書誌] 藤腹 明子: "3年課程における小児看護学の展開(共)" 「看護展望」メヂカルフレンド社. Vol.15,No.2. (1990)
• [文献書誌] 藤腹 明子: "看護教育における医師の役割を考える" 「看護展望」メヂカルフレンド社. Vol.15,No.12. (1990)
• [文献書誌] 水谷 幸正 ビハ-ラの会本部編: "いのちの輝き" 考古堂, (1990)
• [文献書誌] 藤本 浄彦 南山大学宗教文化研究所編: "浄土教とキリスト教ー宗教的救済と自覚ー" 春秋社, (1990)
• [文献書誌] 中村 永司: "社会福祉援助技術総論" 川島書店, (1990)
• [文献書誌] 田宮 仁: "死そして生を考える・市民のためのビハ-ラ" 同朋社, (1990)