1.「清明心」「まつり」「もの」「こと」などの、基礎的範疇の変貌の考察を行った。なお基礎的範疇をめぐって、関連文献を調査し、研究文献の収集につとめた。また、仏教移入に関わる説話をめぐる研究を推進し、それとの関連において、「まつり」をはじめとする基礎的範疇相互の関係および体系化については、現在さまざまな試行錯誤を試みつつある。(なお、業績一覧参照) 2.大神神社及び沖の島祭祀跡、大三島神社、伏見稲荷などを見学・調査し、祭祀形態の復元作業へむけての資料収集に努めた。 3.近代の物語学を中心とする諸研究文献を整理収集し、神話の形式と神話の「ことば」(基礎範疇)との関わりの考察を始めた。 4.宮廷儀礼や宗教芸能の中に保存されている古代の習俗や神観念の問題を、中世の文献資料を手掛りに研究した。成果の一部は、菅野覚明の口頭発表「再会の現象学」(日本文学協会88年大会)で公表された。 5.近世国学者たちによる古代神話研究史の再検討を行なった。とくに国学者の用いた方法概念を整理分類し、その批判的検討を通じて、新たな古代神話解釈の路を模索した。成果の一部は、菅野覚明の書評「山下久夫『本居宣長』をよむ」で発表された。 6.中世神話の一種、「お伽草子」を扱う共同研究会に参加し、とくに絵画史料の取り扱いについて専門化の教示を受けた。この研究会は今後とも継続し、89年後半には論集を公刊する予定である。 こと/ことば/もの/ものがたり/神話/習俗/日本倫理思想史/まつり/仏教/神社/古墳
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