地方寺院には、中世並びに近世の絵画が什宝として伝来しているが未調査のままであることが多い。それらの中には絵画史上重要と認められる作品が見出される場合がある。従って、特に地方の寺院伝来の絵画調査を実施し、重要作品の発見に努めると同時に、その散佚を防ぎ、中世絵画史に新資料が加えて学会に寄与する必要がある。本研究調査の主たる対象は、中世と近世初期の絵画、特に仏画と水墨画の伝来する地方寺院とする。 本年度、調査を実施した地域は福島県(実施済み)を除く東北五県であった。また、前年度実施した京都府・大阪府のうち取り残した寺院についても実施した。 全国47都道府県のうち、未調査は北海道、沖縄、東京、滋賀となったので、来年度はそのうち東京、滋賀について調査を実施する。その他取り残した寺社について適宜実施する。その方法は(1)事前連絡により作品の所在確認、情報の収集(2)候補寺院の決定、予備調査の連絡、調整(3)予備調査実施(4)本調査実施、作品記録、写真撮影、資料収集(5)作品研究、資料整理。
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