本年度は以下の2つの実験を行なった。まず第1に、視覚障害者の歩行様式を5つに分け、それぞれ条件下で歩行速度を測定した。その5つの歩行様式は、単独歩行と白杖歩行、音源歩行、介助歩行、伝い歩きである。歩行距離は10mとし、ストップウォッチで歩行時間を計測した。被検者は、視覚障害者17名(年齢10〜21歳)と晴眼児318名(年齢6〜21歳)である。白杖歩行時の平均速度は1.17m/s、単独歩行で1.22m/s、音源歩行で1.26m/s、伝い歩きで1.32m/s、介助歩行で1.39m/sであった。白杖歩行時の速度は、介助歩行時の速度の84.2%であった。もっとも歩行速度が速い歩行様式は、介助歩行であった。これらの5つの歩行様式は、歩行の効率の違いを表わしている。 第2に、視覚障害者の歩行姿勢を画像解析し、肘関節、膝関節、足関節の角度変化を求めた。被検者は、視覚障害者13名(年齢10〜21歳)と晴眼者24名(年齢10〜24歳)である。その結果、視覚障害者に共通して見られる特徴は、肘関節の屈曲と伸展がほとんどないこと、立脚時に膝関節の屈曲と伸展が小さいこと、足関節の角度変化が小さいことであった。このような歩行姿勢は、視覚障害に起因する2次的な影響によって形成された姿勢であると考えられる。
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