研究課題/領域番号 |
63450013
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大山 正 日本大学, 文理学部, 教授 (50008942)
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研究分担者 |
板垣 文彦 日本大学, 文理学部, 助手 (10203077)
厳島 行雄 日本大学, 文理学部, 専任講師 (20147698)
石口 彰 お茶の水女子大学, 文教育学部, 専任講師 (10184508)
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キーワード | 生体運動 / Linkage過程 / 知覚情報処理 / 運動情報 / 立体情報 |
研究概要 |
我々は、いままでに人間の知覚情報処理過程について仮定されているいろいろな独立した情報(例えば、色彩情報、立体情報、運動情報)処理の統合過程、つまり、知覚像の成立する過程についての研究に取り組んできた。これらの研究の発端になったのは1970年代になってからその現象が知られるようになった。「生体運動・知覚現象であり、それは生体の主関節(肩や肘、膝など)に光点を装着し暗室内で運動させると、静止しているときはランダムな光点の配列としか知覚されないものが運動を始めると生体の構造や、特性がすぐに知覚されるという現象である。石口は、視覚系が「生体運動」として光点運動を知覚する場合について実験的研究を行い、その中の対となる2光点間の距離の最大と最小距離の比が約1.5以下の場合に、主観的なリンクが生じることを発見した。これを「Linkage過程」とよび、さらにその効率を高めるのは、入れ子状の運動階層構造(たとえば、肘の運動は肩の運動成分を含み、手首の運動は肩の運動と肘の運動成分を含む)と各部の運動の間の位相差に整合的な関係が存在する場合であることを見いだした。それは運動階層構造の下位にあるとみなされる光点が上位の光点と位相がない場合か、あるいは位相差が-90度遅れる場合に最大になる。このように「Linkage過程」は運動情報と位相差情報によるアルゴリズムによって記述できることを明らかにした。 また、大山は暗黒の中で移動する2〜3の光点の運動奇跡の知覚に関する数学的モデルを提出し、狩野らの実験データにあてはめ、よい適合性を実証した。 2年目にはいる本研究は、1つの事物の知覚像の成立における運動情報の要因に加えて、3次元立体情報を取り込んだ場合の知覚統合過程について検討を深めることを目的とする。
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