研究課題/領域番号 |
63450024
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大塩 俊介 日本大学, 文理学部, 教授 (50083192)
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研究分担者 |
松岡 雅裕 日本大学, 文理学部, 助手 (70209518)
後藤 範章 日本大学, 文学部, 助手 (70205607)
池田 寛二 千葉大学, 文学部, 助手 (60144622)
夏刈 康男 日本大学, 文理学部, 専任講師 (00112920)
鷹取 昭 日本大学, 文理学部, 教授 (30059092)
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キーワード | 地域保存 / 地域開発 / 地域変動 / 地域イメ-ジ |
研究概要 |
本研究は、昨年度の高山市三町(商家町)の研究に続いて、萩市堀内(武家町)の「地域保存」に関する研究である。 経過は、平成元年11月および12月に準備調査を実施し、平成2年2月に現地町内会の調査の許諾を得たが、衆院選挙のため、調査の実施は2月下旬から3月上旬にづれ込むことを余儀なくされた。 調査研究の目的は、文化庁による伝統的建造物群の地区指定に伴って、現実に地域社会のなかにどんな変動があらわれているか、とくに町並み景観の変化を抑止する要因は何か、変化を促進する要因は何か、等を明らかにするpilot surveyを行うことであった。その結果、高家町とは明らかに類型に異する武家町の特徴が、かなり明らかとなった。 1)萩市の武家町における地域保存にとって第一の難点は、屋敷内の土地の細分化が近年進行し、将来にもこの傾向が加速されることが予想される点である。地価の上昇は、今後、土建・住宅産業による地域開発の対象による可能性が強いが、この点、高山市とは対照的な性格をもつ。 2)従って、新しい世帯・人口の流入が続いており、地域組織はあまり形成されていない。伝統的な屋台組の結束が強固な高山商家町とは、きわめて対照的で、地域保存は行政主導型となっている。しかし住民の地域保存への意議は、誇りの念を伴った地域イメ-ジによってかなり高く、急速な地域変動を予測することはできない。 3)しかし高山商家町のように、地域保存が経済上の観光開発メリットと結びつく要因はなく、保存は住民の新識に依存せざるを得ない点に問題がある。 4)とくに土塀の保存が最大の目標であるが、最近10〜20年間に土塀の切開が進行しつつある。土地の細分化に伴う車の出入のためやむを得ないとはいえ、用地買収による屋敷内公道の造成などの施策が待たれる。
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