1.アルコール依存に関する全国レベルにおける統計や既存データを、国会図書館、アルコール問題全国市民協会、東京都精神医学総合研究所、国民政治研究会などから収集した。これらの統計、データは様々な観点から作成されたものであるが、われわれは、それらを断酒行動という観点から統合的に再構成する整理を行った。 2.アルコール依存症者が多いのみならず、断酒会活動が全国の中でも最も活発な地域に属する、島根県断酒新生会および広島県断酒ふたば会の活動実態に関するデータを、全断連事務局、新生会およびふたば会の各事務局を中心として収集した。この作業によって、新生会およびふたば会が、全国の断酒活動の中で指導的役割を担っている様態をデータ上から跡づけた。 3.収集したデータを年次別、地域別に整理した。その結果、飲酒行動および断酒行動を分析する際に注目すべき社会学的要因として、家族関係、職場関係、地域関係などの、人間関係的要素が抽出された。 4.新生会およびふたば会の会員に対して、過去の飲酒歴や現在の断酒行動に関して、意識調査を実施した。現在、コンピュータを用いて、集計作業を継続中である。 5.全断連の会長をはじめ、新生会、ふたば会のリーダー属に対して集中的なインタビュー調査を実施した。その結果、リーダー達の断酒活動にかける情熱と使命感が、その地域の断酒会活動の活性化と密接な関係があること、またリーダーの個性、特にその人間的魅力や統率力、抱擁力が、一般の会員の断酒継続に大きな支えとなっていることが明らかになった。
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