三年間にわたる本研究は、主として全国各地のニュ-メディア政策の進歩状況を現地調査によって進めた。一口にニュ-メディアといってもその施設や機能はきわめて多岐にわたるため、本研究ではCATVに的を絞り、その実態についての実証研究を行った。以下にその要約を述べる。 1、初年度及び第2年度は、一方で国(各省庁)のニュ-メディア政策がいかなるもので、それらがどのような特長をもって進められているかを理解し、他方で国の政策が具体的に地域社会にどこまで進められているかを資料及び現地調査でフォロ-した。 2、国の政策と地域の政策が比較的順調に進行している地域情報化は農水省のMPIS政策であることから、実証研究の的をそこに絞り、九州の大分、熊本、四国の徳島、香川、さらに長野、岐阜などの諸県諸地域に数度の現地調査を行った。 3、MPISにおける事業展開の中核はCATVであり、CATVによって地域の行政、経済、産業、文化の情報提供は着実に進行している。このことによって、地域社会におけるト-タルなコンセンサス形成も徐々に進行し、新しいコミュニティ運動や連帯意識の醸成もなされていることが認識される。 4、問題は、いかに地域社会にとって有効な情報装置と地域情報が機能するかということであるが、各省庁の足並みがそろわないところが、結果として地域社会に混乱を招いている。国の政策的、資金的援助を有効に発揮するためには、国が地域の主体性を尊重しつつ、政策を展開してゆくことが何よりも肝要なことである。
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