(1)目的 近年、大都市地域や農村地域(特に過疎地域)において、一人暮し老人や老夫婦のみの世帯が著しく増加している。そこで、本研究は、老夫婦のみの世帯を対象とし、その状況を明らかにするとともに、老親子のソーシャル・サポート・ネットワークを明らかにすることを目的とする。 (2)対象と方法 当初、都市と農村の比較研究を念願においていたため、調査地域は、都市と農村の両地域を考慮していた。しかし、予備調査の結果、農村では、老夫婦のみの世帯数が絶対的に少ないことが判明したため、その比較を断念し、サンプルを都市地域に限定し、都内足立区を選定した。そして、そこに居住する800世帯の老夫婦のみの世帯をランダムサンプリングし、その妻に対して面接調査を完了した。また、子供のいる世帯には、子供にも同様の質問紙を用いて郵送調査をした。 (3)分析結果 質問項目は、過去、現在の生活状況や子供とのネットワーク、同居・別居意向、余暇、趣味、地域社会、社会福祉サービスとの関わりなど、についてであった。 今回の調査は、対象者を老夫婦とその子供をペアでmotchingしてとったところに大きなねらいがある。それは、老親の子供との同別居意向と、子供の老親との同別居意向がどう一致しているのか、またはどうくいちがっているのか、あるいは、老親子双方の住宅事情はどのような状況にあるのか、などについて、親子でmotchingした資料がえられる。 現在、分析中であるが、その結果は、今後、家族の私的扶養と老人福祉サービスとの関わりをどのように考えていくべきか、その手がかりをわれわれに与えてくれるものと考えている。
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