(1)研究目的 本研究は、老夫婦のみの世帯を対象とし、老親子の家族ネットワ-ク、友人ネットワ-クなどを明らかにすることを目的とした。 (2)対象と方法 サンプルは、東京都内・足立区を選定し、そこに居住する老夫婦のみの世帯を800世帯、ランダムサンプリングし、その妻に対して面接調査を完了した(660ケ-ス)。 (3)分析結果 質問項目は、過去、現在の生活状況や子供、近隣、友人とのネットワ-ク、同居・別居の意向、余暇、趣味、地域社会、社会福祉サ-ビスとのかかわりなど、についてであった。 近隣のネットワ-クについては、高齢女性の過半数が「気軽に行き来し、親しく話をするくらい」のつきあいをしている一方、約3割に近い者が「会えばあいさつをする程度のつきあい」しかしていない。また、近隣のネットワ-クには、高齢の男女間で大きなちがいがみいだされた。 親しい友人の状況については、対象女性の約8割の者が親しい友人を有いていることが判明した。その友人の居住地は近く、緊密なネットワ-クを形成していることが判明した。しかし、一方では、約2割の者が親しい友人を一人も持っていないことが判明し、問題の多いことを推測させた。 子どもとのネットワ-クについては、友人ネットワ-クと同様、子どもの居住地は近く、時間的距離も短いことが判明した。しかし、その一方で、接触頻度は多いものと少ない者とに二極分解していることが示唆された。また、それは、高齢女性の年齢、健康度、子どもとの時間的距離などによって統計的に有意であることが証明された。
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