研究課題/領域番号 |
63450038
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小川 利夫 名古屋大学, 教育学部, 教授 (00022400)
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研究分担者 |
新田 照夫 名古屋大学, 教育学部, 助手 (30180673)
新海 英行 名古屋大学, 教育学部, 教授 (00036055)
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キーワード | 社会教育の民主化 / 公民館の設置 / 社会教育団体の再編・組織化 / 社会教育法の制定 |
研究概要 |
占領軍総司令部による対日占領社会教育政策の形成・展開過程について、とくに中央レヴェルを中心に研究し、あわせて地方(東海地方、とくに岐阜県、さらに飛騨地方)レヴェルの分折に着手した。上記研究の経過と成果はおよそ以下の通りである。 第1に、占領軍総司令部とくに民間情報教育局(C・I&E)の社会教育政策の形成・展開(変容)の実態について、国立国会図書館において整理・公開されている関係資料(CI&E教育課社会教育関係会議記録、各種報告書、機関誌等)が及び日本側行政・民間関係団体の関係者(当事者)からの聞き取り調査結果等にもとづいて実証的な分析を行った。その結果、公民館(社会教育施設)の地域的自立性ないしは住民自治、地域における社会教育に果しうる学校の積極的可能性、民間社会教育団体の行政にたいする独自性等、戦後社会教育におけるいくつかの基本的理念が、「非軍事化・民主化」という占領政策の基本的な枠組みの一環としての社会教育政策(とくに社会教育法制定にかかわる指導・指示を媒介して)が形成されていったことが明らかになった。 第2に、上記の中央段階の占領軍の社会教育政策がいかに地方への浸透・定着(部分的には変容・屈折しつつ)していったのかについて、東海地方、とくに岐阜県の実態の調査・分析に着手した。まず県レヴェルの社会教育行政が地方軍政部の指導と監督下にいかに成立・展開したのか、市町村(高山市、古川町、国府町等)段階では公民館運営、学校開放、団体活動等がどう具体的に展開し、定着したのか、占領軍地方軍政部、県、市町村等の関係資料を調査収集する一方、関係者の面接・聞き取り調査を行い、それら資料、調査結果の分析にとりかかったところである。目下、まだ分析の途上にあるが、占領社会教育政策が社会教育行政の分権化、団体形成の民主性・自主性等に与えた影響が解明された。
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