研究課題
一般研究(B)
全盲と弱視の境界にある最重度の弱視児にとって、学習に常用する文字を普通の文字にするか、点字にするかは大きな問題である。先行研究では、主に、普通の文字と点字のどちらを使用するのが学習上効果的か、その選択のための基準づくりに焦点があてられてきた。しかし、これらの先行研究では、読書条件に対する配慮や読み書きの指導法については、言及されていなかった。本研究は、このような最重度の弱視児が効果的に読み書きを行なうために必要な配慮事項や指導法について検討を行うのが目的である。そのために、これまで、低視力児の読み書きに関する先行研究の整理や最重度弱視児の読み書きの指導法に関する情報交換などを行ってきた。また、低視力児の読み書きの実態を把握するための調査・検査や弱視児の視覚特性を把握するための実験的研究を行ってきた。研究の結果、特に低視力の弱視児にとっては、視覚特性に応じた見えやすい読書環境を整備することで、読み効率を向上させることのできる可能性が示された。すなわち、子どもに応じて文字のサイズ、コントラスト、白黒反転などを整えることの重要性が示唆された。また、前後の文脈を読み取り読書効率を高めさせていくための指導は、このような見えやすい読書環境を設定して初めて意味をもつことが明らかとなった。これらをまとめて研究成果報告書を作成した。
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