研究課題
本研究の初年度(63年度)の課題は、(1)システム構成とその利用課題として、(2)音質の明瞭度に関する検討、(3)訓練利用と学習利用のかねあいの問題、(4)マンマシーンインターフェイスの一つとしての音声入出力の障害児教育における役割の検討が行われた。課題1として音声認識装置、音声合成装置を購入し既存のコンピュータと接続した。応用としての学習ソフトウェアの開発のための関連ソフトウェアも購入した。本システムの適用障害領域は、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由であり、各領域の専門協力者との研究協議(平成元年1月20日開催)で検討課題に対する評価を行った。課題2に関して、障害児の場合、合成音声の明瞭度に対する感受性は多様であるが、概して視覚障害児は規則合成音声でも理解するが、聴覚障害児に対しては良質な音声(ADPCM等)が望ましく、肢体不自由児では言語能力が大きな要素となっていることが明らかとなった。また言語能力は全ての障害に対して言えることである。課題3に関して、音声入力により機器制御が容易となると、開発可能な言語や四肢等の機能の訓練がおろそかになる点が指摘される。一方、訓練に多大な時間を費やすと学習速度が低下するという、相反する問題をかかえている。現在の学校教育におかるコンピュータ利用の時間的配分からは、学習と訓練の競合問題は重要視されていないが、今後は訓練と学習の並行的時間配分や教材内容の工夫を考えていく必要があるとされた。課題4として、キーボードやスイッチ類と音声入出力装置の使い分けでは、それぞれの入力手段の利点を活用した単独活用、複合活用が提案された。以上、初年度としてシステム構成基本課題の検討、学習ソフトウェアの基本作成が完了した。次(最終)年度の課題である教材ソフトの現場での適用とその評価に対しての準備も協議会で検討された。