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1990 年度 実績報告書

古代ロ-マの「死」についての総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63450051
研究機関名古屋大学

研究代表者

長谷川 博隆  名古屋大学, 文学部, 教授 (50022364)

研究分担者 砂田 徹  名古屋大学, 文学部, 助手 (10206576)
小川 正廣  名古屋大学, 文学部, 助教授 (40127064)
キーワード死 / ロ-マ人 / ius imaginum / sexageharii / 棄老 / 神格化 / 英雄崇拝 / 元老院最終決議
研究概要

平成2年度の各研究分担者の研究成果は、以下のとおりである。
まず長谷川博隆は、(1)死者・祖先崇拝との関連の中での「父祖の肖像」(imagines maiorum)の問題と、(2)老人と死にかかわる問題を取り扱った。前者では、ロ-マの名門貴族のグロリア(gloria)を伝えるものとして、父祖の肖像に焦点を合わせ、それが女性によっても受け止められ、実家および結婚先の家の伝統が保持されてゆくことを明らかにした。また後者では、「60歳になった者を橋から棄てること」という格言、辛辣な洒落に焦点を合わせ、広く棄老から若者と老人の対立の問題まで考えてみることにより、ロ-マ人の死生観の一面をも明らかにした。小川正廣は、死と密接に結びついたギリシアの英雄崇拝とは異なって、ロ-マ的な「英雄崇拝」である神格化が死と矛盾することを指摘し、その矛盾をロ-マ人が、建国の英雄に関する神話や共和政末期から帝政初期の歴史的事実において、どのように克服しようとしたのかを考察した。またその論考において小川は、王政期と共和政期になぜ神格化が困難であったのかについて、ロ-マ人の宗教とそれに根ざした彼らの死生観にもとづいて検討した。砂田徹は、「元老院最終決議」という一種の非常事態宣言(政治的殺人)のもとでの、ロ-マ人の行動様式を分析することにより、共和政期ロ-マ政治的エリ-トたちが、彼らの権威に対する民衆からの自発的服従にいかに多くを負いながら支配していたのか、言い換えるならば、非常事態において見えてくる、共和政期ロ-マの権力のあり方について考察した。
なお、以上3人の成果は、別に提出した研究成果報告書(冊子体)にまとめることができた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 長谷川 博隆: "カエサルの寛恕" 名古屋大学文学部研究論集. 110. (1991)

  • [文献書誌] 小川 正廣: "アイルランドと古典学の伝統" 京都産業大学国際言語科学研究所所報. 11. 210-235 (1990)

  • [文献書誌] 小川 正廣: "中世におけるラテン語写本について" 京都産業大学国際言語科学研究所所報. 11. 53-79 (1990)

  • [文献書誌] 砂田 徹: "P.クロディウスをめぐる最近の諸研究ーロ-マ共和政末期の「都市民衆」とのかかわりでー" 名古屋大学文学部研究論集. 107. 87-102 (1990)

  • [文献書誌] 小川 正廣: "叙事詩人のエ-トスーホメロスとウエルギリウスー" 名古屋大学文学部研究論集. 109. (1991)

  • [文献書誌] 長谷川 博隆編: "権力・知・日常ーヨ-ロッパ史の現場へー" 名古屋大学出版会, 294 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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