研究課題/領域番号 |
63450054
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
白石 太一郎 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (60150017)
|
研究分担者 |
設楽 博己 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (70206093)
杉山 晋作 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (30150022)
平川 南 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (90156654)
|
キーワード | 方墳 / 円墳 / 横穴式石室 / 古代東国 / 終末期古墳 |
研究概要 |
昭和63年度は(1)関東地方各地の終末期古墳に関する資料を収集・整理して問題の所在を明確するとともに、(2)関東地方の代表的な終末期の大型古墳である群馬県前橋市宝塔山古墳、栃木県壬生町壬生車塚古墳、千葉県市原市海保大塚古墳の墳丘の測量及び横穴式石室の実測調査を実施した。また、(3)関東地方の終末期大型方・円墳の年代を明確にするため一部古墳の出土遺跡の検討を行い、さらに(4)近畿地方の同時期の大型方・円墳との比較検討などを実施した。 本研究の主要目的は、関東地方の終末期の大型方・円墳の測量・実測調査を実施して、その墳丘や石室の構造・実態を明らかにするとともに、研究の基礎資料としての墳丘測量図・石室実測図を学界に提供しその共有財産とするところにある。その意味で関東地方の代表的な終末期の大型方墳である宝塔山古墳、同じく大型の円墳である壬生車塚古墳の正確な測量・実測図が完成した意義は大きい。また海保大塚古墳は上総地方の終末期の大型古墳と推測されながらもその実態が全く知られていなかったものである。調査の結果については、さらに各地の諸例との比較検討が必要であるが、(a)宝塔山古墳は明らかに三段築成の方墳であり畿内のこの時期の方墳とは異なること、(b)壬生の車塚古墳は従来径60mの方墳とされてきたが実際には径80mあり、さらに周溝と外堤をめぐらせた終末期にかぎれば日本列島最大の円墳であることなどが明らかになった。海保大塚古墳については、第1・2段が六角形、第3段が円形、第4・5段が方形を呈するきわめて特異な墳丘をもつことが知られたが、これが確実に終末期の古墳であるかどうかについてはさらに検討が必要である。次年度は、これらの成果を踏まえて関東地方の終末期大型古墳を西日本各地の諸例と比較し、東国における終末期古墳のあり方の特異性を明確にするとともにその歴史的背景を考察したい。
|