研究課題/領域番号 |
63450058
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 重幸 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70017721)
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研究分担者 |
生越 直樹 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (90152454)
林部 英雄 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (80092469)
工藤 真由美 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (30186415)
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キーワード | テンス / アスペクト / 言語発達 / 完了 / テキスト / 誤用分析 / 視点 / 朝鮮語 |
研究概要 |
1.テンス・アスペクトについての基礎的研究では、1例に1カードを使い、約35万枚の使用例を採集し、第一次分類をおこなった。ひきつづき第二次分類をおこなっている。形態論的カテゴリーとしてのアスペクト(スルーシテイルの対立)が現代日本語においても、テキスト構成的機能をはたす重要な手段であることが実証されつつある。また〈完了〉というアスペクト的意味は〈シタ〉があらわすと従来されてきているが、〈終止〉においては、むしろ〈シテイル、シテイタ〉があらわすと規定すべきであることが明らかになりつつある。 2.児童におけるテンス表現の発達の研究では、900余名の小学校児童に対して、3コマの極簡単な漫画を提示し、1コマずつ説明させるという実験を行った。この結果、文中の動詞は小学校低学年では現在形の使用が多く、高学年ではほとんどが過去形であった。また、テンスは動詞の種類とも関係があり、「持っている」など状態を表す動詞には現在形(シテイル)が、「渡す」など変化を表す動詞には過去形(シタ)が用いられ易いことが小学校低学年レベルでも確かめられた。これらのことから、低学年では時間的な視点が固定されておらず、漫画のコマごとに移動すること、高学年では成人と同様、視点が一点に固定されて物語を構成することが示唆された。 3.外国人日本語学習者の誤用分析の研究では、今年度は韓国人学習者がテスト時間に書いた作文(のべ400人分)全文をパソコンに入力した。その結果、約2000例の誤用例をデータベース化することができた。誤用の中には、語彙レベルでは片づかない文構造に関わるような例が多く見られた。これは、日本語と朝鮮語の文法構造の微妙な差を反映しているものとも考えられ、今後はこれらの例について朝鮮語と対比しつつ、よりきめ細かい分析を行う予定である。
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