研究課題/領域番号 |
63450058
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 重幸 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70017721)
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研究分担者 |
生越 直樹 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (90152454)
林部 英雄 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (80092469)
工藤 真由美 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (30186415)
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キーワード | アスペクト / ヴォイス / テンス / 言語発達 / 誤用分析 / 歴史的現在 / ディスコ-ス / 朝鮮語 |
研究概要 |
現代日本語の基礎的研究部門では、第1に、アスペクトとヴォイスの相互関係性の問題に取り組んだ。持続相のアスペクト形式(シテイル、サレテイル)が「動作の持続」を表すか「結果の持続」を表すかは、広義ヴォイスのカテゴリ-(他動能物性、他動受動性、自動性、再帰性)と相関していることを明らかにした。第2に、スル、シテイルが表す、いわゆる「歴史的現在」の用法の問題に取り組み、ディスコ-スのタイプによってそのあらわれ方に違いがあることを分析し、論文にまとめた。 言語発達の研究では、昨年度までに実験的な検討が進み、子供は最初できごとを現在形のみで表現しているが、徐々に過去形も使用されるようになることが明らかになっている。今年度はこの事実に対してさらに行動生物学的な観点も取り入れた考察を行い、知見を得ることができた。 日本語学習者の誤用分析の研究では、前年度に引き続きパソコンへのデ-タ入力を行い、テンス・アスペクト・ヴォイス以外の誤用も含め、全体で約7000例の誤用がデ-タベ-ス化された。デ-タベ-ス化された資料をもとに、テンス・アスペクトに関する誤用を分析したところ次の点が明らかになった。1)誤用の多くが学習者の日本語能力の不足に起因するもので、習得の過程で起こる発達的な誤りと考えられる。2)ル形とテイル形の使い分けにおいては、母語からの干渉によると考えられる誤りも他の場合に比べて多くみられる。3)日本語能力の不足による誤りは、日本語能力が高い学習者では少ないのに対し、干渉による誤りは、能力が高い学習者でも多くみられる。 これまでの各部門での研究成果をまとめ、「現代日本語のテンス・アスペクト・ヴォイスについての総合的研究」と題した報告書を作成した。
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