研究課題/領域番号 |
63450066
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西田 龍雄 京都大学, 文学部, 教授 (00025032)
|
研究分担者 |
壇辻 正剛 京都大学, 文学部, 助手 (10188469)
金澤 正憲 京都大学, 大型計算機センター, 助教授 (80027599)
|
キーワード | 西夏語 / 西夏文字 / 西夏王国 / 文字分析 / 言語解読 |
研究概要 |
本研究は西夏文字辞典の編纂を最終的な目標として3年計画で研究を推進しているが、本年度はその中間段階として以下の様な作業を進めた。まず、前年度に引続き、西夏文字のコンピュ-タ処理を可能にするための、スキャナ-での読取りや、記憶装置への保存に関する作業を進めていった。字形の複雑な西夏文字を扱うために画像処理の性能の高いパソコンシステムの充実を計った。さらに、将来のデ-タの増加や記憶容量の増加に対応するため、光ディスクの活用を考慮しているが、その準備段階として基礎作業を行った。また、西夏文字デ-タベ-スの作成を目指し、発音・意味等の付加を考慮した上で準備資料を作成する作業を進めたが、意味面での研究では、基礎的な仕事として内容の違ったテキストをできるだけ多く読破する作業を進めた。西夏語のように表意文字で書かれている場合、この作業は必須不可欠の要請である。その一端として、西夏の古写経の研究を進めた。現存する西夏経典には、首尾完備した上、経題を持つ完全な形のものは少なく、たいてい首尾いずれかを欠くとか、首尾共に破損し、何経なのか全く判らないものも多い。数枚の断巻、ないしは小さい残片の形で保存されているものにおいても、経題の決定が可能であり、それが漢文からの翻訳であるものは原形の復元も可能となるので、復元を幾つか試みた。さらに、音声面では西夏文字の複雑な発音表示の簡略化を考え、その転換法を考案する作業を続けたが、その過程で、前年度作成した国際音声記号(IPA)の文字フォントの改訂及び修正を試みた。これは国際音声記号が1989年8月の西ドイツでの会議で改訂されたのを受けた措置である。また、レ-ザ-プリンタ-導入に基づいてより精密なドット構成が必要になった点への考慮も含まれている。これらの成果に基づいて、最終年度は西夏文字デ-タベ-スをさらに充実し、西夏文字辞典の編纂を行いたいと思う。
|