最近の消費者信用の普及のもとで消費者の破産制度の利用は著しいが、本研究は、免責制度が破産者の生活にどのような積極的あるいは消極的効果を及ぼしているかを実態に即して検討することを目的とする。いうまでもなく、破産免責制度は戦後の破産法改革のなかで破産者の更生をもたらすはずのものとして制度化され、その運用において積極的意義を有することは疑がないが、他方で、信用利用の途絶など破産による事実上の不利益を完全には免がれていないことも予測できる。債務者によっては、もし債務の弁済の猶予と免除を含む弁済計画を提出することによって破産という不利益を回避できる手段が立法上認められれば、破産の申立てにより免責を得るよりもその効用が大きいことが考えられる。このような弁済計画を提出できる債務者はある程度限られていると思われるが、このような仕組みのない法制度のもとでは、破産の申立てをし免責を受けた破産者のなかにも見出せる可能性がある。 そこで本研究では、破産者の状況や意見を徴するための実態調査を試みることにした。すなわち、前年度において、官報に掲載されている破産公告のなかから破産免責が確定した破産者のうち東京地裁八王子支部および釧路地裁管内に住所または居所を有する者(約400)に対するパイロット調査を実施した。本年度においては、その回答結果を分析するとともに、調査表に若干の修正を加え、あらためて全国規模で破産免責の確立した者(約2000)に対し調査を行った。現在、回答結果の分析を電算入力し分析中である。
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