研究課題/領域番号 |
63450072
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 暉之 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (90086231)
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研究分担者 |
平井 友義 大阪市立大学, 法学部, 教授 (90067512)
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キーワード | ソ連軍 / 党軍関係 / ソ連軍事ドクトリン / スタ-リン粛清 / 工業化 / トロツキ- / フルンゼ / トハチェフスキ- |
研究概要 |
この研究の目的はロシア革命から第二次世界大戦にいたるまでのソ連の内政と外交に、軍事的要因がいかにかかわりあい、いかなる影響を与えたかを究明することにあり、具体的には、軍事的要因が、ロシア革命とボリシェヴィキ権力の樹立、内戦期における共産党独裁政権の確立、ネップ期の内政と外交、集団化と工業化によるスタ-リン体制の確立、反党派と軍の粛清、第二次世界大戦の開始にいたる歴史過程の中でいかなる重要性をもって具体的な政策過程に影響を与えたかを、軍事ドクトリンの変遷、軍事組織の変遷、党軍関係の進展という三つの視点から分析しようとするものであった。過去三年間にわたる共同研究は、これらの問題の解明にかなりの実績を挙げたといえる。まず第一に、この最終年度には、前年度に引続き、ソ連軍事関係の組織だった文献収集を継続した。また、「スタ-リン集団化と工業化の軍事的意義」「反党派と軍の粛清」について第一回の研究会を、「第二次世界大戦への準備」について第二回目の研究会を開き、現在、『軍事的要因からみたソ連社会主義の特質』と題する、今までの研究成果をまとめ、さらにこれまでパソコンに入力したソ連軍事関係の資料一覧を含んだ報告を刊行する準備が進められている。三年間にわたる研究の結果、内戦を通じて形成された赤軍は、「赤色司令官」と「軍事コミッサ-ル」という特色の制度を産み出し、それが、トロツキ-・フルンゼ論争を経て、常備軍の形成へと導かれ、主として軍事力の増強を第一優先順序においてなされた工業化を促すとともに、ソ連の社会主義の性格を、本質的には軍国化するに至った過程が明確にされた。即ち、軍事的要因は、ソ連の社会主義の性格になによりも増して決定的な役割を果たしたのであり、この結果をまとめた報告書は、この点で今後のソ連研究に大きな影響を与えることを信じている。
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