1.連合体としての企業の分析をゲーム論的に分析するという点で、1988年度には理論的な前進があった。これらの成果は要約的に1989年度中に発刊予定の著書や、アメリカ経済学会によってコミッションされ、同機関誌に掲載予定の論文にまとめる予定である。特に、企業を「契約の連鎖」として促える新古典派的アプローチにたいし、最近の企業間競争のグローバル化や先端技術の展開に伴い、企業内における人的資源の学習の必要性が高まり、それが人的資源をして企業の連合的要素としての重要性を高めせしめている構造をあきらかにした。また、金融面での連結構造と人的面での連結の構造に日米間に異った類似性のあることをあきらかにした。 2.最近、研究開発投資の増大にもかかわらず、経済の要素生産性の低下していることが世界的にも問題となっているが、これは企業の構造が変化しつつあることに一部起因していることをあきらかにした。 3.日本の代表的企業十社について、その世界化戦略と研究開発についてヒアリングを行い、いくつかのパターンを抽出した。
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