本研究では日本企業の比較特質を情報、インセンティブ、金融の側面からとらえるとともに、それを通じて企業の一般理論構築のてがかりをつかもうと試み、その成果は後掲図書にまとめた。 まず日本企業の特質は3つの双対原理にまとめられる。 1.一般に企業は、情報システムとインセンティブシステムを、分権的及び集権的方法によって双対的に結合させることが組織的に有効と考えられるが、日本企業は欧米企業と非対称的に、情報面で情報共有にもとづいた非ヒェラルキ-的方法、インセンティブ面でランク・ヒェラルキ-に依拠した集中的方法を採用している。 2.日本企業の金融構造と内部雇用構造とは情報・インセンティブ面で同型の構造をもっている。 3.日本企業の経営は金融・雇用の両面からの双対的コントロ-ルを受けている。 この第3原理から、企業の一般理論としては(1)エ-ジェンシ-理論(2)取引コスト論にかわる協調ゲ-ム論の重要性が浮かびあがってくる。
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