研究課題/領域番号 |
63450081
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
豊田 尚 中央大学, 経済学部, 教授 (70054947)
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研究分担者 |
大須 真司 中央大学, 経済学部, 教授 (20055221)
池田 正孝 中央大学, 経済学部, 教授 (30055115)
島崎 春哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50054995)
江口 英一 中央大学, 経済学部, 教授 (30096086)
栗原 源太 中央大学, 経済学部, 教授 (70096105)
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キーワード | 地域労働市場 / 兼業農家 / 不安定就業 / 農村工業 / 下請企業 / 低賃金構造 / 直系家族 |
研究概要 |
1.今日の農村における農家の労働と生活を左右する有力な要素の一つとして「地域労働市場」があるという風に考えてきた。この「地域労働市場」は1960年代の後半以後急速に農村部に展開した。その主要な労働力供給基盤は女子中高年者層であり、労働力需要は主に電気機械、精密機械等の製造業職種であった。このような労働市場が農村部に広範かつ大量に展開されたことはいまだかってなかったことであり、農家の労働と生活に対して全く新しい影響を及ぼすことになったのである。我々の調査研究はこの「地域労働市場」の下にある農家の経営と生活がどのような構造を持ち、どのような変動にさらされているかを解明することであり「地域労働市場」が資本主義的経済の再生産の中で、特に低賃金基盤としてどのような位置を占めているかを分析することであった。 2.我々はこの課題に接近するためにほぼ10年前に調査を行った長野県伊那市の2つの農村集落について追跡調査を行った。(本年度はうち1集落の追跡調査を実施した。) 3.その結果、当面次の点が明らかになっている。(1)農家階層により影響の仕方は大きく異なるが「地域労働市場」は依然として今日の農家生活を規定する重要な要素となっていること。(2)農業経営の変化は急速でこの10年間でトマトからリンゴへ、エノキからシメジへと激変している。(3)他方農家兼業の雇用も大きく変動してきており、企業や職種の変更も多く不安定的な土木日雇の就業も厚い層をなしている。(4)このような農業経営や農外兼業、不安定化の中で農家の世帯形態はその多くが2世代世帯あるいは直系家族のそれになっている。これはもはやかつてのように経営を継承していくためのものではなく、生活の不安定を世代間で相互に補完しあうものとしての性格をもつものとなっている。 4.これらを今後の調査によってさらに徹底的に実証分析していく。
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