米国・カナダ企業の財努データCOMPUSTATII、欧州企業の財努データEXSTATを入手・分析して、つぎの特徴および構造を明らかにした。 1.収録項目については、米国、英国、欧州大陸、日本企業の間ではバラツキがある。米国282項目、カナダ175項目、英国329項目、欧州202項目、日本286項目である。90%以上の収録が期待される共通項目のみの国際データベースの構築では、余りにも簡略なものとなる。したがって、虫食いとなるとしても、EXSTATのような入手可能最大限の項目を収録する方向が望ましい。しかし、この方向を押し進めると、企業の年次報告書をそのままのイメージで入力するフリー・フォーマットによるファイリングが考えられるが、データ分析には困難が伴なうであろう。 2.会計処理方法、特に棚卸資産の評価基準、固定資産の評価基準、減価償却方法が多岐にわたっている。したがって、収録数値の違いは、会計処理方法の違いからくるのか、企業行動の差であるのか不明である。そこで会計処理方法ないしは会計処理方法の組み合わせのコード化を検討する必要がある。 3.会計処理方法の変更、合併・買収、事業停止による過去データの遡及修正については、現年度および前年度の数値の修正ですませるのか、また、重要な会計数値(財努要約表に掲載される)については、オリジナル数値と遡及修正数値をともに収録する方法が考えられる。日経ニーズはすべて修正数値に変更してしいるが、会計処理方法の変更等の影響を測定するためには、オリジナル数値遡及修正数値を示すエリアを設けておく必要があると考える。
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